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 ユーザーが求めるゲーム 〜人気のあるジャンル、人気のないジャンル〜


   テレビゲームは現在、日本だけで一年に1000タイトル以上も発売されている。それらのゲームのほとんどは、おおまかなジャンルに分けることができる。ジャンルとは例えば「アクション」「シューティング」「シミュレーション」「パズル」などといったもので、ゲームの内容を知る要素のひとつでもある。このゲームのジャンルは時にユーザーの嗜好をも左右することがあり、中にはある特定のジャンルのゲーム(もしくは、ある特定のタイトル)のみを好んでプレイするユーザーもいる。

 そんなゲームのジャンルで、現在日本で最も人気があるのは「ロールプレイングゲーム(RPG)」だ。この人気はダントツで、CESA(コンピュータエンターテインメント協会)が実施した調査でも約72%の人が「RPGが好き」と回答しており、2位の「アクション」の約42.1%を大きく離している(複数回答、2004年の調査)。売上の面で見ても、言わずと知れたヒットタイトル『ドラクエ』『FF』『ポケモン』のジャンルはみんなRPGで、本編はどれも200万本は堅いタイトルであり、人気だけでなく実績も確かなものである。

 逆に人気のないジャンルはと言えば、パーセンテージだけで見れば「コンストラクション(ゲーム作成ツール)」や「情報データベース」などが好きなジャンルとしての支持が少ないが、そもそもこういったゲームは一般的なジャンルとしての認識が薄いのに加え、発売タイトルも多くないので、ここでいう「人気のないジャンル」に当てはめることはできない。そこで視点を変えて、「昔はもっと人気があったのに、今は昔ほど人気のないジャンル」というのを考えてみると、個人的に思い当たるのが「シューティング」と「対戦格闘」である。

 まずシューティングというジャンルは、一般的には戦闘機などを操って弾を打って敵を倒していくゲームである。かつてファミコンブームを起こしたのはシューティングゲームとも言われ、『ゼビウス』を筆頭に、『ツインビー』『グラディウス』『スターソルジャー』など今でも支持の高いゲームが数多く誕生しているが、現在ではシューティングゲームのヒット作はほとんどなくなってしまっている。海外ではFPSと呼ばれる一人称視点型シューティングゲームがヒットしているが、従来型のシューティングとはプレイ感覚が異なる上、それらのソフトが日本で発売されてもまだヒットしたためしがない。

 次に対戦格闘だが、これは1990年代初めの『ストリートファイターII』の大ヒットをきっかけに対戦格闘ブームが巻き起こり、のちに『バーチャファイター』や『鉄拳』などのヒットタイトルを同じジャンルから生み出し、3Dゲームの先駆けともなった。しかし現在ではそれらのヒットタイトルも売上が伸び悩み、また新規のヒット作もほとんど出て来ていない。

 これらのジャンルのゲームはなぜ、昔ほどの人気がなくなってしまったのであろうか。この問題にあえて答えを出すとするならば、「マニアックな内容のゲームが増えてしまった」ということが挙げられるだろう。つまり、例えばシューティングゲームなら、普通に弾を打って敵を倒すだけではすぐにクリアーできてしまうので、敵が出す弾を極端に多くしたいわゆる「弾幕ゲー」路線のゲームが増えた結果、一部のマニアックなユーザーしかその難易度についていくことができず、支持するユーザーの数も減ってしまったということだ。対戦格闘ゲームも同様で、うまくなるには複雑なコマンドを覚えたりしなければならないなどの要素が積み重なった結果、ついていけないユーザーが離れていってしまったのである。もちろんこれらのジャンルのゲームの全てがそうだというつもりはないが、全体的にはそのような印象を強く受ける。

 加えてシューティングや対戦格闘といったジャンルのゲームは、元々オリジナルがゲームセンター版であることが多く、腕自慢のプレイヤー向けに作られた難易度であるために、そういった傾向が強いものと考えられる。家庭用ゲーム機に移植するに当たって難易度を下げたモードが追加されるケースもあるが、それがゲームセンターでプレイしないユーザーを振り向かせる要素になっているとは到底思えない。

 では逆に、人気のあるRPGなどは、マニアックなゲーム内容ではないから売れるのであろうか。これも答えはNOであり、マニアックな内容のRPGも数多く存在する。今はどちらかといえば大衆向けとなった『FF』もかつてはマニアックな内容だと言われたし、子供向けと思われがちな『ポケモン』も、より強いモンスターを育てようと思えばかなりマニアックな知識が必要となる。ではなぜ、これらのゲームは多くのユーザーに支持されるのであろうか。

 この問いに対する答えはさまざまあるのだろうが、個人的に強く思うのは「プレイした軌跡がはっきり残るから」ということだ。最も単純な例を挙げればRPGに付き物の「レベル」で、レベルが上がれば、成長した軌跡がはっきり残る。レベルという概念がなくても、「アイテムを入手した」「敵を倒した」などのゲーム中の軌跡は記録され、データとしてしっかり残っている場合が多い。こういったデータを、ゲームをプレイしていく上で確認できるゲームのほうが、そうでないゲームに比べて喜ばれるという傾向が特に日本人には多いと思うのだ。そういった意味で、何かしらの軌跡が残るRPGというジャンルは、多くの人に支持されているのだと思う。

 逆にシューティングや対戦格闘といったジャンルにはこのような軌跡として残るものが少ない。得点や撃破数、勝利数などは残せても、それはRPGで残る軌跡とは少し違う。例えば、シューティングゲームではある得点以上に達すると残り自機が一機増えるという軌跡を残すのが、これをRPGで例えるならば「自機の耐久度が増す」という軌跡をたどる。自機が一機増えてもその後一回ミスをしてしまえばまた元に戻ってしまうが、一度自機の耐久度が増してしまえばミスをしてもそれが続くので、明らかに強くなったという軌跡が残ることになる。

 しかし「自機がどんどん強くなっていくシューティングゲーム」や「自分のキャラがどんどん成長していく格闘ゲーム」ではどちらかというとジャンルが「RPG」となってしまい、これらのゲームが好きなユーザーにとっては歓迎されないことであろう。それでも最近ではゲームセンターでも「カード」の導入によって「隠しキャラを最初から使える」などの軌跡が残せる場合が多くなってきており、今後はさらにRPGのような軌跡が残せるゲームが増えていくのかもしれない。

 最近では『脳を鍛える大人のDSトレーニング』や『おいでよどうぶつの森』などといった、いわゆる今までは「ゲームではない」と言われてきたジャンルのゲームもヒットしている。こうしたゲームも例えば『脳を鍛える大人のDSトレーニング』であれば、トレーニングをするとハンコが押せたり、それが一定数になると次のトレーニングが選択できるようになるなど、RPGに例えれば「経験値稼ぎ」や「レベルアップ」に近い要素が含まれている。『おいでよどうぶつの森』のキャラクターはパワーアップはしないが、家に置いた家具は消えることはないし、ほかのプレイヤーと通信したあとに村にその軌跡が残ったりするあたりはとても日本人受けの良い要素であると思う(注:海外では受けが悪いとは言っていない)。

 ユーザーが求めるゲーム。それは、ここで出す結論としては「自分のプレイした軌跡がはっきり残るゲーム」であるといえる。ユーザーはゲームに「自分がプレイした証拠」を求めている。ゲームをプレイした「記憶」も、「記録」も、ずっと残しておきたいのだ。
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