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ゲームの「有料体験版」について考える
2009/01/28
通常、ゲームショップなどで売られているテレビゲームは「製品版」と呼ばれ、ユーザーはお金を出して買うものです。
これに対して「体験版」は、明確な定義は難しいですが、製品版の一部が遊べるデモソフトの位置づけにあるものを指して使われることが一般的となっています。
体験版は、製品版の発売より前に、主にそのゲームがどんなものかを知って興味を持ってもらうために作られます。
そのため、体験版というものは無料のものが多いですが、中には「有料体験版」と呼ばれるものも登場してきています。
そもそも体験版というものは、ファミコンやスーパーファミコンの時代には全くと言っていいほど存在しませんでした。
それは、ゲームの媒体がROMカセットだったからで、ROMカセット自体が当時の価値として比較的高価なものであったため、高いコストをかけてまで体験版を作るメリットがなかったというわけです。
ゲーム機のメディアにCD-ROMが使われるようになると、CD-ROM自体の価格は安いため、体験版が登場するようになりました。
その入手方法はさまさまでしたが、ゲームショップの店頭やゲームショウなどのイベントで無料で配られるもののほか、このころから実質的に有料の体験版が存在していました。
最も有名なのは、スクウェア(当時)がプレイステーションに参入したときの第一弾タイトル『TOBAL No.1(トバルナンバーワン)』に付属された『ファイナルファンタジーVII』の体験版(他のゲームの映像なども含まれている)で、この体験版は、単体では入手不可能で、『TOBAL No.1』を買わなければ入手できません。
『TOBAL No.1』は5800円(税別、発売当時)でしたから、体験版が欲しいだけでもこの価格を支払わなければなりません。
『ファイナルファンタジーVII』は当時かなり注目されたタイトルであったため、体験版欲しさに「オマケの製品版」を購入した人もいたようです。
蛇足ですが、『VII』の体験版は、製品版の冒頭の一部のシーンが遊べる内容でしたが、製品版とは内容が微妙に違っており、マニアはその違いを楽しんだりもしました。
ちなみに続編の『VIII』も体験版が『Brave Fencer武蔵伝』というゲームに付属されましたが、こちらは体験版のオープニングで使われている音楽が、製品版には登場しない(サントラにも収録されていない)という大きな違いがあります。
こうした「(実質的な)有料体験版」は、建前としては「製品版ゲームのボーナスディスク」という扱いのため、大きな問題にはならず、これら以外にもゲームの製品版に別のゲームの体験版が付属されるといった事例はいくつかありました。
変わった例としては、大きな流れにはなりませんでしたが、ドリームキャストの『エターナルアルカディア』というゲームには「@barai」というシステムがあり、低価格で製品版の冒頭部分が楽しめ、続きを楽しむには残りの金額が必要になるという、「有料体験版」のさきがけとなるような動きも見られました。
このシステムは結局このゲームを含めて2作品にしか対応しませんでしたが、今後のゲームにこのようなシステムが採用される可能性はゼロではないでしょう。
プレイステーションからプレイステーション2(PS2)の時代に移行すると、有料・無料問わず、体験版の数は減って行きました。
これにはいくつか理由があると思いますが、そのひとつに「PS2のゲームの多くはPS時代のゲームの続編である」というのが挙げられるでしょう。
つまり、どんなゲームかは前作をプレイしていればある程度は分かるわけで、どんなものかを知ってもらうために体験版を用意する必要がなくなったということです。
事実として、東京ゲームショウなどのイベントにおいても、以前は体験版がたくさん配布されていましたが、だんだん映像DVDなどの配布が中心となり、体験版の数はかなり減りました。
近年ではそういったものの配布も「ゲームを体験した人限定」にするなど、主にメーカーの宣伝コスト低減の影響も受けているのが実情です。
そんな中、一部で話題になったのがSCEから2003年に発売された『グランツーリスモ4”プロローグ”版』というゲームで、製品版『グランツーリスモ4』に対して「予告編」のような意味合いで2980円(税別)で発売されました。
この「プロローグ版」は、従来のシリーズのライセンスモードがメインとなるような形で一応ゲームとして成立しており、そういう意味ではこれまで挙げてきた「体験版」とは異なるものです。
ですから、建前上は「入門者に配慮した簡易版」となっていますが、製品版『グランツーリスモ4』の開発が遅れていたこともあり、「遊べる部分だけを先に出して少しでもお金(開発費)を稼ぐ」という、「有料体験版」に位置づけているのが大半の認識です。
『グランツーリスモ』シリーズでは続編の『5』でも「プロローグ版」が発売されていて、こちらは2009年1月現在、製品版『5』はまだ発売されておらず、有料の「プロローグ」版がすでに2作発売されています。
価格も前作が2980円(税別)だったのが、2作それぞれ4980円(税別、ディスク版)と、この手のゲームとしては異例の価格設定になっています。
そして現在でも製品版『グランツーリスモ5』の発売日は未定となっており、開発者自ら2009年内の発売はないという見解を示しているようで、「プロローグ」のまま終わってしまうのではないかとの懸念さえあります。
こうした「開発が長引いているゲームに対して(開発費回収のために)有料体験版を発売する」という動きは他のゲームでも見られ、2009年1月には『ファイナルファンタジーXIII』の体験版が正式に発表されました(発売は2009年4月16日予定)。
前述の通り、『VII』や『VIII』にも体験版が存在しましたが、それらと異なっているのは、今回は「ゲームではなく映像作品に付属されること」と「体験版が付属されると映像作品単体よりも価格が高いこと」です。
つまり、建前としては、『VII』や『VIII』の体験版は、製品版ゲームに付属するオマケであるのに対し、『XIII』はオマケという位置づけが難しくなっています。
たとえば、映像作品はブルーレイディスクのため、ブルーレイのプレイヤーを使用すれば視聴できますが、『XIII』の体験版はプレイステーション3(PS3)専用ゲームのため、PS3を持っていなければプレイできません。
また、映像作品単体は4900円(税込)であるのに対し、体験版が付属される限定版は5900円(税込)と、明らかに体験版に1000円という価格設定がなされ、建前上でもオマケではなく「有料体験版」に位置づけられます。
もちろん体験版単体での発売は予定されておらず、体験版をプレイしたければ「オマケの製品版」を購入しなくてはならないのは『VII』や『VIII』のときと同様です。
さらにPS3本体を持っていない人のために、PS3本体同梱版も発売(価格は税込4万9980円)されるなど、なんだか「やるだけのことをやった」という印象です。
このやり方を頭から非難するわけではありませんが、どうも『XIII』体験版が建前なく露骨に「エサ」に使われているような気がして不憫です。
これで「本体同梱版」を購入した人が、製品版の発売のときにまた「本体同梱版」が発表されて絶望しないことを祈るばかりです。
現代のゲーム機においては、上記のような一部の例外を除いては、体験版は、「モノ」として配布(または販売)される形から、ネットワークを通じて(多くは無料で)ダウンロードされる形が一般的となりました。
この動きはメーカーのコスト削減の面から見ても有効な手段だと言えるようで、特に新規の作品はいい宣伝にもなるため、こうした体験版は意外と最近増える傾向にあります。
しかし、こうした情報は積極的に探してこなければ入手できないことも多く、体験版が配布されていることすら知らない人も多くいます。
今後はこういった人たちにもまずは体験版に興味を持ってもらう施策が必要になりそうです。
新しいゲームが発売される限り、有料・無料問わず、体験版の需要がなくなるということはなさそうですが、そのあり方は、そう長くない歴史の中でもいろいろ移り変わっています。
それが有料であったとしても「体験版をプレイするまで半信半疑だったけど、プレイしたら面白かったので製品版も買った」と言われるような体験版が数多く登場することを期待したいです。
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